更年期のめまいはこうして整える！日常でできる更年期めまい対策とは

更年期に入ると、これまで感じたことのない体の変化に戸惑うことがあります。そのなかでも、多くの女性を悩ませるのが「めまい」。
 めまいが何度も起きるようになると、「また起きたらどうしよう…」と不安がつきまとい、外出や家事など日常生活にも影響が出ることがあります。

FANCLが2024年9月に実施した「更年期に関する意識調査」では、更年期症状がある女性の30％が「めまいを感じている」 と回答しています。
 めまいは“よくある症状”である一方で、放置してしまうと生活の質を大きく下げる原因にもなります。

この記事では、更年期のめまいに悩む方に向けて、日常でできる具体的な対策やセルフケアを中心に、安心して過ごすためのヒントをまとめました。まずは、あなたのめまいの仕組みを知ることから始めてみましょう。

更年期のめまいはなぜ起きる？まずは「仕組み」を知ることが大切

更年期のめまいの多くは、女性ホルモン（エストロゲン）の急激な変化によって引き起こされます。
 エストロゲンは、自律神経のバランスや血流の調整にも関係しているため、分泌量が乱れると体の中の“調整機能”がうまく働かなくなるのです。

この自律神経の乱れが、

• 血管の収縮・拡張が不安定になる
• 脳へ送られる血流が一時的に低下する
• 平衡感覚をつかさどる内耳が敏感になる

といった状態を招き、結果としてめまいやふらつきが起きやすくなります。

さらに、更年期は睡眠の質が下がったり、ストレスがたまりやすかったりと、生活背景も複雑に影響します。

「ホルモン変化＋生活環境＋ストレス」が重なることで、めまいが長引いたり悪化したりすることも珍しくありません。

仕組みを知ると、「なぜ自分に起きているのか」が分かって不安が和らぎ、対策もしやすくなります。

あなたはどのタイプ？更年期のめまいの種類

めまいと一口に言っても、実は感じ方に違いがあります。
 自分のタイプを知ることで、どの対策が合っているかが分かりやすくなります。

回転性めまい	浮動性めまい
自分や周りがグルグル回っているように感じるタイプ。 耳の奥にある“平衡感覚のセンサー（内耳）”が敏感になって起こることが多く、乗り物酔いのような気持ち悪さが一緒に出ることもあります。	ふわふわ・フラフラと揺れているように感じるタイプ。 自律神経の乱れや血流低下が関係していることが多く、更年期のめまいで最もよく見られるパターンです。 「なんとなく不安定で怖い」「地に足がつかない感じ」という声も多く、生活に支障が出やすいのも特徴です。

あなたがどちら寄りなのかを知ることで、対策の優先順位も変わってきます。

今日からできる！更年期のめまいを整えるセルフケア

めまいは“体からのサイン”です。
すぐに完全に消えるものではないけれど、毎日の習慣を整えることで徐々に安定しやすくなります。ここでは、続けやすく、体を整えやすいセルフケアをまとめました。

1. まずは「その場」でできる対処法

めまいが起きたときは、無理に動かず、安全を最優先にしましょう。

• 座る or 横になる
• ゆっくり深呼吸をくり返す
• 目を閉じると余計に不安定になる場合があるので、軽く一点を見つめる
• 急に立ち上がらない
  

一度落ち着かせることで、症状が悪化しにくくなります。

2. 生活リズムの見直しで「自律神経」を整える

更年期のめまいは、自律神経が乱れていると悪化しやすくなります。

• 起床・就寝時間をできるだけ一定に
• スマホは寝る30分前にオフ
• 朝日を浴びて体内時計をリセット 小さな積み重ねが、自律神経の安定につながります。

3. 血流を良くする“めまいに優しい”食事

食事はめまい対策の大きなカギになります。

おすすめ食材

• 大豆食品（豆腐・納豆・味噌）
• 青魚（サバ・サンマ・イワシ）
• アーモンドやアボカド
• かぼちゃ・ほうれん草
• 鉄を多く含む食材（レバー、あさり、ほうれん草）

これらには、血流をサポートしたり、自律神経を整える栄養が多く含まれています。

ただし、偏りすぎはNG。続けやすい“バランス”が最優先です。

4. 1日5分でできる “めまい予防”の簡単ストレッチ

デスクワークや家事で同じ姿勢が続くと、首・肩まわりの血流が低下し、めまい悪化の原因に。
 以下のストレッチは、座ったままでもできます。

• 首を左右にゆっくり倒す
• 肩を大きく回す
• 胸を開くように背中を伸ばす
• 深い呼吸をセットにする

筋トレではなく「緩める」イメージでOK。
 体をほぐすだけで、血流が改善され症状がやわらぎやすくなります。

5. 漢方やサプリは「補助的な対策」として活用

更年期のめまいに悩む人の中には、医療機関で漢方薬が処方されるケースもあります。

たとえば、体質や症状に合わせて「加味逍遙散」や「桂枝茯苓丸」などが用いられることがあります。

ただし、合う・合わないは個人差が大きく、自己判断での使用はおすすめできません。

気になる場合は、医師や薬剤師に相談しながら、自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。

また、サプリ（大豆イソフラボン・鉄・ビタミンEなど）は、あくまで“補助的な存在”として考え、生活習慣の見直しと組み合わせて取り入れることが大切です。

サプリだけで症状を改善しようとするのではなく、食事・睡眠・ストレスケアなど日常のケアとバランスよく活用するといいでしょう。

病院に行ったほうがいいのはどんなとき？

更年期によるめまいの多くは、生活習慣やセルフケアで少しずつ落ち着いていくことが多いですが、中には重大な病気が隠れていることもあります。
 つぎのような場合は、自己判断せずに受診したほうが安心です。

こんな時は病院へ！

 めまいが何日も続く、または繰り返し起こるとき
更年期では波があるものの、頻度が増えたり長引くと別の原因が疑われます。

 手足のしびれ・力が入らない・ろれつが回らないなどの神経症状がある場合
 これは脳のトラブルで見られるサイン。早めの受診が必須です。

 立ち上がるたびに倒れそうになる・意識がふっと遠のく感じがあるとき
血圧の急激な変動や脱水、貧血が関係している可能性があります。

  吐き気や嘔吐が強く、横になっていても改善しないとき
生活に支障が出るほどのめまいは、医師の診断を受けたほうが安全です。

 耳鳴り・耳の閉塞感・難聴をともなう場合
メニエール病など、耳の病気が原因のケースもあります。

 “突然の激しいめまい”が起きたとき
立っていられないほどの回転性のめまいは、内耳の急なトラブルや脳血管疾患が関係することも。迷わず受診を。

また、「更年期だと思っていたけれど、これまでとは違う種類のめまいが出てきた」 という場合も、早めに医療機関でチェックしておくと安心です。

まとめ

更年期のめまいは、ホルモンバランスの乱れによって自律神経が不安定になり、体がちょっとした変化にも敏感に反応しやすくなることが原因の一つです。

決して「気のせい」でも「年齢だから仕方ない」でもなく、多くの女性が同じように経験し、悩んでいるごく一般的な体のサインといえます。

だからこそ大事なのは、不安を一人で抱え込まず、自分の状態を正しく理解し、できるところから少しずつ整えていくこと。
日常的にできるセルフケア

• 睡眠リズム
• 食事
• ストレッチ
• 呼吸法
• ストレスケア

などは、体質や忙しい毎日に合わせて無理のない範囲で取り入れるだけでも、めまいの頻度や強さが和らいでいくことがあります。

そして、セルフケアを続けてもつらさが変わらない場合や、生活に支障が出るほどめまいが繰り返す場合は、ためらわず医療機関を受診することも大切な選択です。

めまいには更年期以外の原因が隠れていることもあるからです。

更年期は、体が新しいバランスへ移行していくための大きな変化の時期。
 不調をきっかけに、生活習慣や心身のケアを見直すことで、これからの時間をもっとラクに、もっと自分らしく過ごせるようになるきっかけにもなります。

今日からできる小さな対策を積み重ねながら、今よりちょっと軽やかな毎日へつなげていきましょう。